前回のかたつむりで、貝を含む軟体動物の中にフジツボがなかったことに気づいた団員はいただろうか?
図1と2は江の島で見られるクロフジツボとイワフジツボで、これは誰が見ても貝の仲間に思える。
高木運営委員もこの原稿を書くまで、そう確信していた。しかし「みどりの江の島」1)を見て欲しい。
この本でもフジツボは第三章の「3 節足動物(エビ・カニの仲間)」に記載されている。
実は、フジツボや図3のカメノテは、今回紹介するエビやカニと同じ節足動物に属している。
前置きが長くなったが、節足動物とは文字通り節(ふし)のある足の動物である。
身体は硬い殻(外骨格 ガイコッカク)で覆われ、動くための節がある。
江の島の磯で見られる節足動物を紹介しよう。フジツボやカメノテ以外で、
もっと節足動物らしいのは、図4のイソガニや図5のイワガニ。
イワガニは甲羅に横縞があって他のカニと区別がつく。
図6はホンヤドカリ。自分の体にあった貝を求めて動き回る。
図7はフナムシ。磯のゴミを処理してくれる掃除屋で、いわば海のゴキブリ。
磯にいるから水の中でも活動できると思いがちだが、泳ぎは苦手のようだ2)。
確かにフナムシが泳いでいるのを見た記憶はない。
節足動物の仲間はエビ・カニだけでなく、カブトムシや蝶のような昆虫、それにクモやサソリもこの仲間に属している。
硬い外骨格で身体を守られ素早い動きができるが、大きくなるためには外骨格がじゃまになる。
ある程度大きくなったところで新しい外骨格に変わるため脱皮する。また、小さい頃は親とは違った姿をしている。
カブトムシの幼虫は土の中では芋虫のような形をしていて、その姿から親の姿は想像できない。
フジツボが節足動物である証拠の一つが、その子ども(幼生)の姿。フジツボの幼生はノープリウス幼虫と呼ばれ3,4)、
エビやカニの幼生と同じような形をしている。しかし、そんな難しいことを考えなくても、食べて見ればわかるという意見もある。
九州ではフジツボを食べるところがあって、食べた人の話ではエビやカニの味に似ているとのことだ2)。
おそらく貝の身がサザエやアサリを食べた時に感じるゴムのような食感であるのに対し、
フジツボのそれはエビやカニのようにプリプリしているのではないか?
少年団でも4月の活動は雑草を食べるで、その味から植物を覚えようとしている。
一度食べたドクダミの味は、そう簡単には忘れられない。だから、しかるべき先生の指導のもと、磯にすんでいるイソギンチャク、
貝、カニ、フジツボを食べ比べ、生物を分類するのも面白いかもしれない。
(終わり)
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