錦織選手の活躍にホレボレ! テニスで学ぶ力と運動の科学(1) |
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− ラケットからボールに加える力の3要素 − | ||||||||||
運営委員 高 木 茂 行 | ||||||||||
錦織選手のレベルは無理だけれど、テニスをやっている誰もが少しでも上手くなりたいと願っている。 そこで僕ら科学少年団としては、テニスを科学して上手くなることを考えよう。 テニスは基本的には、ラケットにボールを当てて相手のコートにボールを返すスポーツ(図1、2)で、 これに役立つのが力や運動に関する科学だ。今回のかたつむりでは3回にわたってテニスをモチーフに、 力、運動、エネルギーを取り上げる。
ボレーでは、どちらにラケットを向けるかでボールの飛ぶ方向が決まる。 また、どのくらいの勢いでラケットに当てるかでボールの速度が決まる。 さらに、ラケットのどこに当てるかで飛び方が変わってくる。 ラケットの中央のネット部分(ガット)に当てれば良く飛ぶし、 端の枠(フレーム)に当たれば中央ほどの飛びは期待できない(図2)。 飛ぶ方向を決めるが@力の向き、飛ぶ勢いを決めるのがA力の大きさ、当たる場所がB力の作用点である。 @、A、Bを合せて力の3要素という。科学で力というのは『2つの対象で影響を及ぼしあう作用がある時、 その作用を力という。』で2),3)、テニスではラケットがボールに影響を及ぼすのが力である。 力は目に見えないので、そのままではわかりづらい。そこで、図5のように力の3要素を矢印で表現する4)。 矢印の向きが@の力の向き、矢印の大きさがAの力の大きさ、ラケットと矢印が接している位置がBの力の作用点という具合だ。 ボールを飛ばす方向が変わった時は(a)のように矢印の方向が変わり、打つ力を大きくした時は(b)のように矢印を大きくする。 ボールが上手く当たらずラケットの枠に当たったときには(c)のように矢印の位置を変えればよい。
(続く)
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