このレポートは、かたつむりNo.335[2009(平成21)12.6]に掲載されました

戻る

身近になったぞ! 地球にやさしいエコカー(1)
− 環境問題とエコカー −
運営委員 高 木 茂 行
 
CO2による温暖化(a)
(a)
CO2による温暖化(b)
(b)
■図1 COによる温暖化

■表1 観測気温の上位10番
順位 場所 温度 月日
1位 熊谷市 40.9 2007年8月16日
1位 多治見市 40.9 2007年8月16日
3位 山形市 40.8 1933年7月25日
4位 伊那郡かつらぎ町 40.6 1994年8月8日
4位 浜松市(天竜区) 40.6 1994年8月4日
6位 越谷市 40.4 2007年8月16日
6位 甲府市 40.4 2004年7月21日
8位 館林市 40.3 2007年8月16日
8位 高崎市 40.3 1998年7月4日
8位 愛西市 40.3 1994年8月5日
CO2の排出量
■図2 COの排出量
東京モーターショー(会場)
■図3 東京モーターショー(会場)
東京モーターショー(展示)
■図4 東京モーターショー(展示)
 最近はいつでもどこでも『エコ』という言葉を耳にするようになった。 レジ袋を使わないために持参するエコバックや省エネ家電を買うとついてくるエコポイントなどなど。 エコという言葉は、英語のEcology(エコロジー)から作られた言葉だ。 エコロジーは本来の生態学の意味だが、今では自然環境を保護し、人間の生活との共存を目指すという環境を重視する考え方である1)。
 人間の活動規模が大きくなり、地球規模に影響を与え出している。 車を動かしたり、電気を発電したりと燃料を燃やす時には、二酸化炭素(CO2)が発生する。 その量が膨大なものとなり、地球の温度を上げ始めている。 CO2は温室効果ガスと呼ばれ、図1のように太陽から受けた熱が赤外線となって放出される時に、赤外線を吸収して熱を蓄える2)。 CO2が増えるとその熱が増え、(b)のように温暖化する。こうした環境問題を改善していくのがエコということだ。
 身近な例で考えてみよう。少年団の中には、この十年で気温が暖かくなっているのに気づいている団員も少なくないだろう。 冬は雪が少なくなり、夏には35度を越える猛暑日が多くなった。それはデータ的にも正しいことが示されている。 表1を見て欲しい3)。1898年〜2006年の気温を観察して、最高気温が高かった10位までを並べた結果である。 3位に1933年の山形市が入っている以外は、すべて1990年代以降が占めている。1800年代はただの1つも入っていない。 正確なデータによれば、日本の平均気温は100年で1.07度高くなっている3)。1℃くらいたいしたことないと思ってはいけない。 皆さんが時々耳にするマンモスなどが生きていた氷河期というのは、平均で3℃〜5℃しか温度は下がっていない2)。 1℃の温度上昇は地球の気候に大きな影響を与える。
 こうした状況に、日本では鳩山首相がCO2の排出量を2020年までに25%削減すると世界に宣言した4)。 25%というのは現在に対してではなく1990年に対してである。 図2のように1990年に日本で排出されたCO2は12.6億トン(1990年の赤グラフ)だから、 それを25%削減すると9.5億トン(2020年の緑グラフ)になる。 実際には1990年から2009年までにCO2の排出量は増加し続けていて、2006年には13.4億トン(2006年の赤グラフ)になっている5)。 このままのペースで増えると2020年には14億トン(2020年の薄い赤グラフ)になってしまう。 実現するためには、すべての家に太陽電池をつけるような大胆な対策が必要と言われている。
 その動きは車の分野にも押し寄せている。多くの人がエコな車を使うことが重要になってきた。 今年の10月24日〜11月4日には千葉県の幕張メッセで、2009年東京モーターショーが開催され、 日本メーカーが開発中のエコカーをアピールした(図3,4)。 科学好きな少年団の団員なら、これらの車についても興味が湧き、その仕組みも知ってみたいと思うだろう。 エコカーの代表であるハイブリッドカー(HV)、電気自動車(EV)、水素燃料自動車について、次回から3回にわたって紹介する。 今回の記事を読んで環境問題やエコカーについて関心を持ってもらえることを期待したい。


参考文献

1)フリー百科事典 ウィキペディア(検索項目:エコ)
2)寺門和夫:図解雑学地球温暖化のしくみ,ナツメ社,P32〜37(2008)
3)寺門和夫:図解雑学地球温暖化のしくみ,ナツメ社,P22〜23(2008)
4)朝日新聞,2009年9月23日,1面
5)西岡秀三,宮崎忠國,村野健太郎:地球環境がわかる本,技術評論社,P113〜116(2009)


戻る