身近になったぞ! 地球にやさしいエコカー(2) | ||||||||
− エンジンとモーターのメリットを組合せたハイブリッドカー − | ||||||||
運営委員 高 木 茂 行 | ||||||||
ハイブリッドというのは英語で「混成物、まじりあった物」という意味で、 ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターをまじり合わせていることからHVと呼ばれている。 HVがどのようにガソリンを有効に使って長い距離を走れるかを、図1と2で説明する1,2)。 その前に、エネルギーという言葉を理解して欲しい。 エネルギーとは『他の物体に力を加え、動かすことのできる能力のこと』で中学の理科で習う言葉だ。 ガソリンや電池は、車を動かす事が出来るからエネルギーを持っているということだ。 HVではガソリンと電池のエネルギーを交互に使うことで同じ1Lでも長い距離が走れる。 車が時速60km前後の一定速度で走っている時、ガソリンは有効に使われている。 問題は車が止まる時とスタートする時だ。 走っている車は大きなエネルギーを持っている(動いている車は他の車を引っ張れれる)が、 停止する時にはブレーキを使って無くしている。 ブレーキが回転部分に当たってエネルギーを熱に換えてしまっている。 これを蓄えて再び使えれば、ガソリンをより有効に使うことが出来る。 そこで登場するのが電気の部分で、停止する時にモーターを発電機として回して発電し、電池に蓄える方法だ。 モーターに電気を流すと回転するが、逆に外部の力で回すと電気を発電することができる。 自転車の夜間ライトが、タイヤでモーターを回して発電し、電球を点灯させるのと同じ原理だ。 もう一つはスタートの時だ。 エンジンは車が時速60kmぐらいで走っている時に最もガソリンを有効に使うことが出来る。 スタートのようにゆっくりした動きではガソリンを上手く使うことが出来ない。 止まる時に蓄えた電池のエネルギー車をスタートさせれば良い。ここまでの説明をまとめたのが図1だ。 スタートと停止にはモーターと電池を使い、車の速度が一定以上になった主にエンジンを使う。 同じ1Lのガソリンで1.5倍から2倍の距離を走ることが出来る。図2はHVの構造を図だ。 エンジン、モーター、電池、モーターの回転数を変えるコントローラで構成されている。 また、停止する時の発電を効率良く行なうため、専用の発電機も搭載している。 図3はHVを前方から見た構造模型だ。車の前にエンジンとモーター、回転数を変えるコントローラが配置されている。 図4は後方に積まれた電池だ。 HVはトヨタ自動車が1997年12月に、世界で初めての量産型車としてプリウスを開発した(図5)。 最初はなかなか普及しなかったが、環境意識の高まりとガソリン価格の高騰により、 これまでに世界44カ国で100万台が作られた3)。 日本のメーカでは昨年本田技研工業がインサイト(図6)を開発し、外国メーカでもHVが作られている。 現在のHVはエンジンにより電池を充電する方式となっているが、コンセントやプラグから充電するタイプの開発が進んでいる。 このタイプはプラグインハイブリッドと呼ばれ(図7,8)、 近くの買い物など数十km程度ならエンジンを使わなく走ることができる。 さて、モーターを使うなら最初からモーターと電池だけの電気自動車にすれば良い。 どうしてエンジンとモーターを組み合わせるのかと疑問に思うだろう。次回のかたつむりで説明する。(つづく)
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