このレポートは、かたつむりNo.342[2010(平成22)6.6]に掲載されました

戻る

博士号の修得を目指して
− かたつむり原稿をしばらく休みます −
運営委員 高 木 茂 行
 
 少年団の皆さんは、工学博士とか経済学博士という「・・・博士」という言葉を聴いたことあるだろうか。 博士という言葉を勝手に使っている人もいるが、基本的には大学によって認められて与えられる称号である。
学位論文
■図1学位論文
投稿論文
■図2投稿論文
 大学で博士を取得するには、次の3つの方法がある。
(1)大学の学部を卒業した後、博士課程に残る。(課程博士)
(2)会社に勤めながら博士課程に再入学する。(社会人ドクター)
(3)会社で論文を投稿し、投稿論文をまとめて審査を受ける。(論文博士)
(1)は大学で4年間学部の授業を受けた後、前期と後期の合計5年の博士課程に入って研究を進める方法である。 当人の能力も重要だが、4年間の学部の後に5年間の授業料が必要となり、経済的にはかなりの負担となる。 (2)は会社の仕事を続けたまま講義や輪講を受け、研究成果をまとめる方法である。 仕事と論文作成とを同時にこなさなければならず、時間的にはかなり苦しい。 (3)は大学に入学することなく、会社での研究成果をまとめ、大学の審査を受ける方法である。 どの方法でも、研究結果をまとめた論文が査読者に認められ、学術雑誌掲載されることが必要となる。 その論文数は(1)、(2)で2〜3件、(3)では5件と言われている。
 高木運営委員も科学好きな一人として博士に憧れていた。 しかし、いろいろな理由から(1)の方法で大学に残って学位を取得することはできかった。 入社して5年ほど経った時に先生に相談したところ、「来年から社会人ドクターの制度ができる。やってみないか」 とアドバイスをいただいた。現役の大学生たちとともに大学院の試験を受け、無事入学することができた。 会社でのレーザの研究をまとめ、図1のような学位論文を書き、1990 年に名古屋大学から工学博士の学位を授与していただいた。
 その後、会社では別の部署に移って仕事の内容も変わり、 半導体プロセスをコンピュータでシミュレーションするのが研究テーマとなった。 慣れない分野で戸惑いもあったが調子を上げ、図2のような論文が5件受理された。 学位が取れる最低限の条件を満たすところまできた。
 今年の4月に青山学院大学(図3〜5)の先生のところに相談にうかがったところ、「論文博士が習得できるよう頑張りましょうという」 と嬉しい言葉をいただいた。ただし、工学博士を2回受理できないので、理学博士にチャレンジすることになった。 工学の分野は研究結果が社会や産業に役立つことを目的としているが、理学は科学的に新しいことを見出すことが問われる。 10月中旬の予備審査で、学位の基準を満たしているかが判断される。
 最初は学位にチャレンジできることを喜んでいたが、次第に不安になってきた。会社の仕事をしながら論文をまとめなければならない。 科学的に新しいところをまとめ直さなければならない。いずれにせよ時間がない。 そこで、かたつむりの原稿をしばらく休ませていだだきたい。 学位のことは周囲には言わないでトライしようかとも考えたが、人はやりたいことを声に出さないと動きだせない。 かなりの困難が予想されるが、高校や中学の受験を目指している団員と一緒に頑張りたいと思う。

青山学院大学 青山学院大学 青山学院大学

■図3〜5 青山学院大学

戻る