東日本大震災の影響は(2) | ||||||||||||||||||||||
− 食品で騒がれているベクレルについて − | ||||||||||||||||||||||
運営委員 高 木 茂 行 | ||||||||||||||||||||||
前回のかたつむりでは、福島第一原発事故による放射線の影響について紹介しました。
読んでいただいた方から多くの感想をいただき、この事故に対する関心の高さを改めて、感じました。
今回は、水道水、野菜、原乳の影響で話題となったベクレル(Bq)についても考えてみましょう。 まず、前回のシーベルトと今回のベクレルの違いです。これを理解するためには、放射線と放射能の違いを知る必要があります。 2つの言葉はしばしば混合されて使われていますが、厳密には次のように異なるものを示しています。 放射能:「放射線を出す能力」で、単位はベクレルです。 放射線:「放射能を持つ物質から放出されるのが放射線」で、単位はシーベルトです。 分かりやすくするため身近にある照明に例えると、光を出す光源(電球)の能力に相当するのが放射能で、どれくらいの光を受けるかに相当するのが放射線です。 光源がいくら強くても遠く離れると受ける光は弱くなり、放射能と放射線もこれと同じです。
ベクレルをもとに人体への影響をもう少し詳しく考えましょう。 1.ベクレルとシーベルト ベクレルは放射能を表す単位で、1秒間に1個の原子が崩壊して放射線を出す時が1ベクレル(Bq)です。 表1で藤沢市のホウレンソウ草は600Bq/kgとなっていますが、1kgのホウレンソウで1秒間に600個原子が崩壊していることを示しています。 次に、ベクレルとシーベルトとの関係です。ベクレルは一定の値をかけることでシーベルトに変換できます。 ただし、放射性物質によって換算値が異なり、ヨウ素131の場合、 1ベクレル=0.000000022シーベルト となります。 2.人体への影響 次に人体への影響です。実は人の体の中にも放射線を放出する元素が含まれ、その値は大人1人で6000〜7000Bqです。 温泉の中にはラジウム温泉というのがあり、リューマチや胃腸の疾患に良いと言われています。 ラジウム温泉の放射能は、1リットルあたり100,000Bqです。藤沢市の600Bq/kgよりずっと大きいことがわかります。 前回のかたつむりで、人体に影響を与える放射線は1年で1mSvと書きました。 では、藤沢市の600Bq/kgのホウレンソウを食べるとどうなるかを計算してみましょう。ベクレルとシーベルトの換算から600Bq/kgは、 600 Bq/kg × 0.000000022 (Sv/kg)=0.0000132 Sv/kg = 0.0132mSv/kg となります。 毎週1回、200g(0.2kg)のホウレンソウを食べるとします。1年間で食べる量は、 0.2 kg/日 × 52日 = 10.4kg となります。 したがって、1年間の放射線量は、 0.0132 mSv/kg × 10.4kg = 0.137 mSv となります。1mSvの7分の1で影響がないことが分かります。 4月活動では雑草を食べます。雑草のレベルが藤沢市のホウレンソウと同じと仮定し、200gの雑草を食べたとすると、 0.0132 mSv/kg × 0.2 = 0.0026 mSv 影響の無いレベルであることが分かり、安心して食べられます!! 2回にわたり、震災の影響の話題となってしまいました。次回は明るい話題を紹介します。 |