続「石炭の科学」(2) |
−鉄とコークス− |
運営委員 工学博士 小 野 哲 夫 |
昨年12月の活動で「石炭の乾留」を行なって、ガスとタールが出て来るのを観測しました。
そのまま高温度で乾留を続けるとガスやタールが出なくなって、残った石炭はコークスとなります。
でも、時間がかかるので、コークスになるまでの実験は出来ませんでした。
そこで、コークスの話をしたいと思います。 => また、最後に賞品つきの問題だよ! コークスは鉄を作るために必要です。鉄の原料である鉄鉱石を熔かし、 鉄と不純物とを分けるのです。実際は、鉄(Fe)と酸素(O2)とが 結びついている鉄鉱石(FeOやFe2O3)などから、 コークスの炭素(C)が酸素(O)を奪い取る仕事を行ないます。 これを、化学式で書くと次のようになります。 (少し難しいかもしれませんが、()の説明を読んでください。 それでも、ここで言う1つ2つは化学の単位のモルです!) (鉄鉱石2つにコークス1つが、鉄1つと炭酸ガス(CO2)1つになる) 2Fe2O3 + 3C → 4Fe + 3CO2 (鉄鉱石2つにコークス3つが、鉄4つと炭酸ガス(CO2)3つになる) このため、面倒でもコークスにしてから使います。 これは、石炭をガスバーナの炎の中に入れて燃した実験で、石炭が割(わ)れたり、 小さな欠けらが撥(は)ねだしたことで判るでしょう! コークスを作るための石炭は、ただ燃すだけの石炭と違います。 コークスの原料用ということから原料炭と呼ばれるもので、加熱されると軟らかくなって、 流れるような流動性を少し示します。ですから、粘結炭とも言われます。 この原料炭を乾留すると、この前の実験のようにガスとタール(揮発分と呼ばれる)が先ず出ます。 この後、順に軟らかくなって行きながら石炭中の水素(H)分が抜け出て、 ほとんど炭素だけのコークスとなります。このコークスが鉄を作るのには、 原料として鉄鉱石とともに大切なのです。 最後に問題です:コークスを作る原料炭は( )炭とも呼ばれる。 ( )の中に入る言葉は何でしょう! 正解者には、5月活動日に石炭かフライアッシュ(石炭灰)のサンプルを上げます。 |