このレポートは、かたつむりNo.331[2009(平成21)8.25(Tue.)]に掲載されました

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タデアイを育てて藍染めをしよう!6
―いよいよ、藍染めを行います―
運営委員 小 野 哲 夫
 
生葉染め(上部は叩き染め)
写真1 生葉染め(上部は叩き染め)
化学建てによる絞り染め
写真2 化学建てによる絞り染め
 タデアイを刈り取って、干しましたか? その後に、新しい芽が出ましたか?
9月活動、10月活動と、いよいよ藍染めを行います。

 9月は、シルクを生の葉によって染めます。(「生葉染め」と呼ばれています)

葉っぱをミキサーにかけて染める液(染液)を作って、シルクを入れて染めます。
 でも、それだけでなく、葉っぱの形をそのまま染めることも行います。 これはシルクの上に葉っぱを置いて、木槌などで叩いて(たたいて)葉っぱの汁を生地に移すことから、叩き染めと言います。 葉っぱの汁は葉緑素(ようりょくそ)の緑色をしていますが、叩くことによってアイの青色に変えて、シルクを染めます。
 写真1は、生葉染めしたシルクのハンカチです。上の部分に叩き染めを行い、下半分を染液で染めたものです。

 10月は、干した葉っぱ(乾燥葉)によって木綿の化学染めを行います。
 本格的な藍染めは、干した葉っぱを発酵(はっこう)させて「すくも」としたものによって行います。 発酵は微生物の力を借りるのですが、これを化学薬品の働きで行うのが化学染め(「化学建て」と呼ばれています)です。
 活動では微生物の力や、化学薬品の働きを一緒に学びますが、藍染めではただ染めるだけでなく、絞り染めを予定しています。
 写真2は、絞り染めしたガーゼのハンカチです。輪ゴムで絞ったところは染液が浸み込まないので、白い模様となって染まります。

9・10月活動のためのタデアイの用意について

 1ページの9月の活動の「持ち物」に書かれているように、タデアイは生葉と乾燥したものの両方を持ってきてください。
生 葉; 当日の朝に刈り取って持ってくるのがベストです。 しかし、前日の夕方に刈り取りして、水に漬けておくことでも良いでしょう。
(タデアイを1〜2本残して花を観察すること、種を取ることも良いでしょう。)
乾燥葉; 刈り取って、干したもの「葉っぱ」を持ってきてください。茎から取れたものや、 乾燥した葉っぱが粉々になったものでよいです。 (使用するのは、葉っぱだけです。また、煮出すために粉々で構いません。)

≪藍染め豆知識≫
 ―番外(その2);ベニバナ染め―
 藍染めと並んで伝統的な染めものとして紅花染めがあります。きれいな紅色に染めることのできるものです。
これは、アザミに似た「紅花」の花を用いた染めものです。 紅花は写真のように黄色が主体の花ですが、写真でも分かるようにわずかに紅色の色素が入っています。 黄色はサフロールイエローと呼ばれる色素で水溶性です。 これに対して紅色の色素はカルサミンと呼ばれるもので、こちらは水に溶けません(不溶性)。 その上、カルサミンの含まれる量は少なく、1%程度だと言われています。 したがって、カルミサンを取り出すことや、水溶性とすることに工夫が必要です。 伝統的な技術では黄色の色素を水で洗い流した後、 臼でついて煎餅のように干した「紅餅」に加工したのちに染色に用いています。
 染めにしても、紅花染めにしても伝統の技術、すなわち先人たちのチエが生かされ、今日でも活用されています。


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