このレポートは、かたつむりNo.463[2019(平成31)01.12(Sat.)]に掲載されました

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おめでとう!「発電大作戦!!!!!!」
運営委員 小 野 哲 夫
 
 「発電大作戦!!!!!! どれが一番エコ?」が藤沢市総合かがく展で環境特別賞を受賞したこと、おめでとう! 「かたつむり」に発電所の話を投稿している運営委員として、大変うれしいです。
 発電所の話は、これまで水力発電所や火力発電所の基本的なことと、日本で電気が使われるようになった歴史的な話をしてきました。 これに対して「発電大作戦」では「排ガスをださないエコな電気」に着目しています。これは、この時代の世の中のことを考えた大変素晴らしい発想だと思います。 それでも、実験では風力や太陽光発電あるいはレモン電池や燃料電池だけではなく、チャンと水力と火力発電も行って比較しているは大切なことです。 また、6種類の実験装置、写真を見ると手作りしたことが分かります。 これだけの実験装置を考えて、手作りしたことも褒められることだと思います。実験結果も、6種類の発電方法を並べて表に整理していることも良いでしょう。
 「3.各発電方法の考察」で実験したそれぞれの発電方法について一つ一つ丁寧(ていねい)に感じたこと、疑問に思ったことをシカッリ考察して、 「4.まとめと結論」に導いているのはこれまた素晴らしいです。

 その中でアドバイスさせてもらいたいことがあります。
水力や火力発電では、発電機を回す水力や火力の力の大きさで発電する電気の量(電圧×電流)が違ってきます。 たとえば水力発電では、平成29年の夏季合宿「早川町」で見学した奈良田第一発電所では毎秒13?の水を落とす高さの差(落差)が248mあることから  27,600KWの発電をしているのに対して、帰りのバスの窓から見た西山発電所では水量が毎秒15?と多いにもかかわらず落差が147mのため発電量は 18,800KWと少なくなっています。また、火力発電では水を加熱して作る水蒸気の量と質(温度と圧力)で発電量が変わります。 すでにお話した日本で最初の発電所「電燈局」の発電量がわずか20KWであったのに対して、 今では蒸気を作る装置(ボイラー)の技術が進んだことから出力300,000KW、500,000KWの火力発電も珍しくありません。
 一方、レモン電池や燃料電池、太陽電池では大きさによって発電量は変わってきます。 と言っても、それぞれの電池の特性から電圧は決まるので、電極板の大きさ――面積で得られる電流が変わってきて、結果として発電量が変わることとなります。 また、書かれているように直列につなぐと乾電池と同じに電圧は上がることとなるのですが、レモン電池の実験で電圧が変わらなかったのは不思議ですね。 「どうしてなのか?」と今後調べたらよいでしょう。
 さらに、風力発電では風の強さだけでなく、風を受けて回る風車の形や羽の大きさなどにも左右されるので、簡単ではないと言えます。

 「電気の量」という面からこんなお話をしましたが、『どれが一番エコ?』という比較研究でしたから「自然の力」を評価項目に入れてまとめをしているのは、 目標としたエコに対して結果が出ているので良かったと思います。 これからも「電気について考えていきたい」ということなので、考察で感じたこと、疑問に思ったことをクリアするように頑張ることを期待します。応援しています!



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