このレポートは、かたつむりNo.454[2018(平成30)04.15(Sun.)]に掲載されました

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こわい話を科学する −−幽霊は存在するのでしょうか?−−
運営委員 山田 佳子
 
 それは、科学少年団で考えることではないのかもしれません。 けれど、「非科学的だから科学少年団で考えるのはやめましょう」というように決めつけるのは、本当にいいことなのでしょうか? 「決めつけ」は科学を学ぶ上で、もっともしてはいけない、つまらないことです。
 そこで、敢(あ)えてその科学のタブーを取り上げてみようと思います。でも、ただのこわい話として楽しむだけでもいいです。

1. 金縛り
 私が高校生ぐらいの頃です。自分の部屋で寝ていたのですが、夜中に目が覚めると体が動きません。 金縛り※注1だと思いました。この頃は月に1回くらい金縛りにあっていました。 そういう時は声を出したり気合いで動けるようになるのですが、この時はいつもと違う感じがしました。 足元を誰かが歩いている気配がします。
 部屋の北側を歩いています。ぞろぞろ人が歩いている気配がするのですが、そこに道はありません。 目も閉じているし、見えるはずはないのですが、大勢の人が歩いている映像が見えます。 自分で想像してしまっていたのかもしれません。見ない方がいいと思いました。 すぐにそこから意識を外すようにしました。何人歩いているかやどんな姿をしているかなどは考えないようにしました。
 けれど、その行列にいたうちのひとりが、列を外れてこちらにやってきました。 私は意識をそちらに向けないようにしました。絶対に目を合わせてはいけないと思いました。 その人は私のすぐ横まで来ました。そして、私のお腹に乗ると足踏みをしました。 痛かったのとびっくりしたので起き上がり、その人の足を掴みました。 浴衣のような着物から出ていた足でした。布団に座った状態で、手の届く範囲に足がありました。 そこまでは覚えているのですが、そこから記憶が途切れています。
 その日の朝、目を覚ますと、起きて座ったはずなのに、きちんと布団の中で寝ていました。 寝相はよい方ではないのに、本当にきちんと寝ていました。
 踏まれたお腹は痛かったし、起きあがった記憶も、誰かの足を掴んだ感触もありました。 とても不思議な気持ちになったことを、いまでも覚えています。

 これは「こういうことがありました」というお話です。実験結果や自分がその場に居たり見た物は、一番確かな情報です。 自分ではそれが実際にあったことだとわかるからです。でも、「こわい話」は他の人に科学的に信じてもらうことは難しいです。 科学では他の人が同じことをして、同じことが起きないと、「本当のこと」になりません。 この話では、これを見ているのが私ひとりだけです。この時以外に同じことは起きていません。
 信じる信じないは、これを読んだ人が決めることです。 ただ、「みんなが幽霊が居ないと言うから信じない」「見た人がいるって聞いたから信じる」ではなく、きちんと自分で考えてみましょう。 それに、科学はそれではいけません。ほとんどの人が「これは本当のことだ」と思える結果を出さなくてはいけません。
 理科の実験では、実験結果をプリントなどに書きます。 その場合、ホントにあったことかを知るのではなく、どうしてそういう実験結果になったのかを考えなければいけません。 実験は成功すると嬉しいですが、失敗しても大丈夫です。どうしてそうなったのかを考えてプリントに書くことができればいいからです。 次はこうしたいな、こうしたらうまくいくのではないかな? ということを考えられるようになれば、成績アップです。
 科学的な大発見の中には、誰もが「え?」と首を傾げてしまうことの中にヒントがあることが多いです。 こわい話の中には、そのヒントが隠されているのかもしれません。 見つけられるか見つけられないかは、あなたの科学的な考え方の先にあるのかもしれません。

※注1 金縛り意識がはっきりしていながら体を動かすことができない状態。医学的には睡眠麻痺と呼ばれる。 睡眠時の全身の脱力と意識の覚醒が同時に起こった状態。 脳がしっかり起きていないので幻覚を伴う場合があり、心霊現象と関連付けられる原因になっている。(wikipediaより)

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