このレポートは、かたつむりNo.475[2019(令和元)11.10(Sun.)]に掲載されました

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高エネルギー加速器研究機構(KEK)
運営委員 山田 佳子
 
 先日の国立科学博物館は楽しかったですか?見学も終わる集合時間の30分くらい前のことです。 地球館にあった展示物の前で、立ち止まっている団員さんたちがいました。 時間がなかったのであまりよく確認ができなかったのですが、おそらく茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)の展示物だと思います。
 では、ちょっとした、たとえ話です。とても速い軽自動車が、反対側から来るとても速い軽自動車と正面衝突をしました。 すると、その事故現場には、大型トラックでもぶつかったのではないかと思えるような量の残骸ができました。
 現実には、このようなことは起きません。軽自動車が正面衝突をしても、その残骸が大型トラックになることはありません。 ぶつからないように、法定速度を守って安全運転を心がけてください。
 けれど、量子(とても小さな物質)の世界では起きます。小さな小さな電子同士が光速に近い速さでぶつかると、電子よりもずっと大きな物質が発見されます。 小さい軽自動車が、威圧感たっぷりの大型トラックになってしまうそうです。ただ、大きな物質と言っても、電子と比べてなので、肉眼では見えません。
 どうしてこのようなことが起きるのかは、アインシュタインの相対性理論で説明されています。 エネルギーと物質は同じだそうで、この理論を応用したものが原子力発電です。 原子力発電はウランやプルトニウムなどが壊れる時に出るエネルギーでお湯を沸かし、蒸気でタービンを回して発電しています。 原子力発電は物質をエネルギーに変えますが、こちらはエネルギーを物質に変えます。
 光速に近い速さで運動しているということは、大きなエネルギーを持っています。 光速は、光の速さのことで、ものすごく早いです。光は1秒間で地球を7周半します (ただし、光はまっすぐに進むので、地球の周りを回ってもらうにはいろいろ大変です)。 光速に近い速さの電子同士がぶつかることによって、ものすごいエネルギーができ、そのエネルギーが物質になったということです。 ちなみに『光速に近い速さ』というのは、質量のある物質は光よりも速くなれないといわれています。 ものすごく軽い電子でも、光より速く進めません。ちょっと驚くようなことで、想像しづらいですね。
 そのことを実験・研究しているのがKEKです。加速器という実験装置を使って素粒子を作り出し、宇宙・物質・生命の謎を解き明かしているそうです。 つくば市に、ものすごく大きな実験場があります。国立科学博物館には、その図がありました。
 興味を持った人は調べてみてください。KEKには資料館などがあります。それと年に1回、9月に見学会があります。
興味を持った団員は(https://www.kek.jp/ja/)をどうぞ!

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