戻る
| 塩酸で人は溶けますか? |
| 運営委員 山 田 佳 子 |
|
5月25日の活動で、「塩酸で人は溶けますか?」という質問を受けました。
ちょっとびっくりするような質問ですが嬉しかったです。
人が溶けるなんて物騒ですね。でも、化学に興味を持ってくれている団員さんがいてくれたことが良いです。
ただ、準備していなかったのできちんとお答えができていたかわからなかったのと、
他の団員さんにも知って欲しいと思ったのでかたつむりに出しました。 これは酸性とアルカリ(塩基)性のお話です。小学4年生や5年生の団員さんには難しいかもしれません。だからちょっとだけ。 酸とアルカリは理系の学校に進むなら長いお付き合いになります。苦しむのはもうちょっとだけ先で良いでしょう (中学生はもう苦しんでいるかもしれません。楽しんでいる人はこのまま楽しんでいてください)。 塩酸で溶けるのは金属です。カチコチで丈夫な銀色の金属がぶくぶく泡を出して溶けている映像を観て、 人間も溶けてしまうかもしれないと思ってしまうかもしれません。 でも、人間は泡を出してぶくぶく溶けたりはしません。もっと地味で時間がかかります。 濃い塩酸の水溶液が手に付いたら水で洗い流してください。 まず塩酸は酸の仲間です。『酸』とついているとだいたい酸性です。味はすっぱいです。レモンやお酢なども酸性です。 お砂糖を入れたレモネードや炭酸も美味しいですね。これらは酸性です。しかもけっこう溶かす力がある酸性です。 つまり酸性はある程度なら食べても大丈夫です(一応、食べる時は大丈夫かどうか確認してからにしてください)。 そもそも胃液(胃袋の中身(タンパク質)を消化するための液体)は塩酸で強い酸性になっています。 人が体の中で作ってる物質です。 もちろん、胃袋は(胃液で)溶けないようにするための工夫があります。人間は酸に強いです。 よっぽど濃かったり高温だったりする酸でなければ平気なはずです。 ただし、理科室にある純粋な薬品と自然界にある食べ物は成分が同じでもまったく同じではありません。 薬品になっている物は注意してください。よく勉強して理解して使ってください。 では、アルカリ性は大丈夫でしょうか? 濃いアルカリ性の水溶液が目や口に入ったら、まず水で洗い流してください。 余計なことはせずに水でひたすら洗います。そして、お医者さんに診てもらって下さい。 アルカリ性はタンパク質を溶かす性質があります。あまり安全ではありません。付いたら水で洗い流してください。 身近なアルカリ性はセッケン水です。 どうして酸とアルカリがセットになっているのか。 それは酸性の塩酸とアルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると、中和反応が起きて、水と食塩(お塩)ができます。 水とお塩は中性で、酸でもアルカリでもありません。興味を持った人はお勉強がんばってください。 塩酸で人はまず溶けません。でも、歯のエナメル質や骨のミネラル分は溶けると言われています。 酸っぱいものを長時間口の中に入れておくのは避けた方がいいでしょう。また、濃い水酸化ナトリウム水溶液だと危険です。 しっかり勉強して、適度に怖がって、安全に実験してください。 「これは何だろう?」と思ったことがあれば、いくらでも質問してください。大歓迎です。 |
戻る