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さて、9月活動は夏季活動で学んだことを振り返り、発展させるための活動です。 今回は、採取したサンプルを整理しつつフォッサマグナとは何だったのか改めて確認します。 また、3日目に見学した水力発電所をテーマにして、実験を行います。さらに、生き物観察オリエンテーリングのまとめも行います。 夏季活動に参加できていなくても、9月活動に参加することで同じテーマの体験が少しできると思います。
サンプルの整理:持ち物の見本
採取したサンプルは、お菓子の箱などに強力接着剤を使って直接貼り付けます。 今回は、フォッサマグナの解説カードとともに貼り付ける予定です。大きすぎる石は無理に貼り付けません。 ちょうど良い箱がない場合は、100 均でトレイなどを買っても良いですが、プラスチックは接着剤がつきにくいので、 底にボール紙などを敷き、両面テープで固定しておくと作りやすいです。 「立体地形模型の作製・説明会」
なつのロケット 〜団長のつぶやき2〜
団長 石井 幹夫
夏休みに入って間もない7月30日、ベンチャー企業のインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)による小型ロケット「MOMO(モモ)」初号機の打ち上げがありました。 残念ながら、途中で通信が途絶え、機体は宇宙にたどり着く前に爆破されましたが、数多くのデータが得られ、次回の発射に向けての大きな一歩であったと思います。 そんな中、夏休みも終わりに近い8月26日、小学生の手作りロケットが、無事打ち上げに成功し人工衛星となりました!? もちろん本当のお話ではなく、お芝居の中のお話です。 湘南台文化センターを運営している公益財団法人藤沢市まちづくり協会の30周年記念事業で上演されたお芝居「なつのロケット」です。 このお芝居に、私たちの科学少年団からKさんとFさんが参加しました。とても楽しいお芝居でした。 ロケットの燃料には固体燃料と液体燃料がある。固体燃料はただ燃やせばいいので一見簡単そうに見えるが、そのコントロールは非常に難しい。 一方液体燃料は燃焼させるために複雑な構造のエンジンが必要だが、エンジンさえ作ってしまえばそのあとのコントロールはそれほど難しくない。 だから、小学生は液体燃料のロケットを作って宇宙まで飛ばす。そんなお話しでした。 恥ずかしながらそんなことは考えてもいませんでした。固体燃料の方が遙かに簡単だけど、パワーが十分出ないので液体燃料にするのだとばかり思っていました。 昨年、JAXAの見学をしたときに見た液体燃料ロケットのエンジンはそれはもう複雑怪奇で、・・・。 科学少年団の団員はもちろん自然科学が好きで団員になっているのだと思います。だけど自然科学だけでいいのでしょうか? 是非いろんな分野に興味を持ち、そして具体的に取り組んでみてください。 団長は皆さんに「自然科学が」ではなく「自然科学も」そして「いろいろ好きだけど、何と言っても自然科学がいちばん!」になってほしいのです。 そのために科学少年団ではさまざまな仕掛けを用意します。時々名称も変わります。以前伊豆に行ったときは、なんと「藤沢市文学少年団」でした。 そして井上靖の「しろばんば」のフィールドを思う存分満喫してきたのでした。 これから先、さまざまな分野で活躍する皆さんの姿を楽しみにしています。 新発見!枕状溶岩を見つけたよ
運営委員 相原 延光
夏合宿の初日に、思わぬ収穫です。左下の写真は河原の大きな転石です。 みなさんが糸魚川静岡構造線の断層沿いの黒い粘板岩や石英を採集していた河原に転がっていました。 カチンカチンで固く、大きいので採ってきませんでした。 一目見ると丸い形のたくさんの岩石が集まっているようですが、1つ1つの石は枕のような形をしていて、 断面をよく見ると、高温のマグマが海中に流れ出したときに、海水と触れて急に冷やされて固まってできた層状の部分や、 マグマの時に含まれていた火山ガス(主に水蒸気)が抜けてたくさんの穴が空いてそのまま固まり、 放射状の割れ目も出来たことがわかります。約1400万年前に糸魚川静岡構造線沿いに沈み込んだ火山の一部と考えられます。 約30cm のハンマーの大きさからすると、この場所より上流側にこの転石のもとの大きな崖があると想像できます。 洪水によって運ばれてきたのでしょうか。調べてみたいですね。右下図は分布を説明する地質図で、 糸魚川静岡構造線が図の中心で、黒線で書かれています。黄緑色のどこかにもとの露頭があるでしょう。 赤矢印が発見地点です。 【事務局より:枕状溶岩のできかた】 枕状溶岩のでき方をインターネットで調べていたら、静岡県立下田校高校の高校生が作成した動画を見つけました。 アニメもナレーションも全て部活動で作成したそうです。 興味があったら「枕状溶岩 下田高校」のキーワードで検索すると、見つけられると思います。 https://www.youtube.com/watch?v=NWnpq9kkpMk チョウ(蝶)のお話
運営委員 伊原 泰信
蝶の話の前に、なぜ私が蝶に興味を持ったかを紹介します。 小学生までさかのぼりますが、当時は夏休みの自由研究といえば、昆虫採集の標本作りが多かったです。 標本といっても、ただ並べるだけではなく、背景にその昆虫がいる環境の絵をクレヨンで描いていました。 カブトムシやカナブンは樹液に集まる様子を、チョウやハチ、カミキリなどは花に来る様子を描きました。 標本ですから、博物館で見かけるように、カブトムシなどの甲虫類は足の形を整え、 樹木に張り付いているようにしたり、チョウやトンボ、セミなどの羽根は展翅版(てんしばん)できれいにしたり、 止まっている場合は折りたたんでというように工夫しました。皆さんはどうでしょう。 捕まえてもそのままにしていませんか。最近は捕まえても、自然環境保護のために、逃がしてしまうようです。 街中ではチョウを探すのも大変になりましたが、 学校では理科の時間にモンシロチョウやアゲハチョウを卵や幼虫から飼育しませんでしたか? 私はこの頃より虫大好きが始まりました。 中学生からは、恩師の須田孫七先生(検索してみてください)ご指導でより専門的な知識を得て、 いわゆる蝶屋(チョウの収集家)となりました。 網を使った採集が中心でしたが、特に卵や幼虫から飼育することにも取り組んできました。 高校時代まではよく山野を飛び回っていましたが、大人になると仕事で忙しくなり、 収集家ではなく日常の身近なチョウの生態観察や飼育を中心に写真の記録などをやってきています。 現在も中学校時代に採集した標本が残っています。 さて、皆さんは、チョウを含めた昆虫の歴史をどれくらい知っているでしょうか。 地球上に存在する動物の約80%以上が昆虫で占められています。その数は、実に85万種以上といわれています。 そんな地球上のどこにでもいる昆虫、そ の起源は古く今から約4億8千万年前の古生代「オルビドス紀」であることがDNAの解析からわかってきています。 最初に出現したのは、シンプルな仕組みを持つ「トビムシ」。 その体長はわずか3mmで、世界中のどこにでも生息しています。 夏季活動で観察した水生昆虫の祖先もこの時代までさかのぼります。 つまりこの時期に現れるトンボやゴキブリ、カゲロウなどの化石が最古の化石といえます。 チョウ類は、それから約2億年たった恐竜の時代である中生代「ジュラ紀」後半から「白亜紀」前半にかけて 鱗翅目(チョウの分類名)と思われる化石が見つかり、このころよりチョウの祖先は誕生したと考えられています。 これはちょうど植物(被子植物)が花を誕生させた頃と同じ時期です。 昆虫と花は大変密接な関係にありますから、当たり前なのかもしれません。 発見された数少ない化石の中から、チョウ類はかなり昔からその姿を変えていないことが分かっています。 現在確認されている種類は、新世人類が誕生したときには既に出そろっていたと思われています。 現在世界では17,600種ほど、日本では250種類ほど、藤沢市内では50種類前後が生息しています。 では、皆さんが知っているチョウは何種類ぐらいですか?モンシロチョウ、スジグロチョウ、キチョウ、 アゲハ、クロアゲハ、ヤマトシジミ、キタテハ、ゴマダラチョウ、アサギマダラ、ジャノメチョウ・・・? 名前は知らなくても、きっと数多くのチョウを見かけているでしょう。 一番多く目にするのは、おそらくモンシロチョウのような白いチョウや大型のアゲハチョウのなかまでしょうか。 私も小学生の頃からアゲハチョウ科が好きでした。とにかく大型の種類が多く、卵や幼虫からの飼育も比較的に簡単です。 今でも自宅の窓を開ければ食草(カラタチ)に幼虫を見つけることができます。 自宅を訪れるアゲハチョウ科はアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ、モンキアゲハ、ナガサキアゲハ、キアゲハ、 アオスジアゲハでいずれも成虫、幼虫ともです。チョウの好きな花や食草があれば飛来してきます。
下の写真はすべて標本写真の終齢幼虫です。似ているようで似ていませんね。
答えは前の標本写真と同じ配置にしてあります。それぞれの食草は、アゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ、モンキアゲハ、 ナガサキアゲハはミカン科(カラタチ、サンショウ、カラスザンショウ、ナツミカン、ダイダイ、コクサギなど)、 キアゲハはセリ科(パセリ、ニンジン、セロリなど)、アオスジアゲハはクスノキ科(クスノキ、タブノキ、ゲッケイジュなど)です。 ミカン科やセリ科の植物は鉢(プランター)で育てられるので、庭でなくてもベランダでもアゲハたちは産卵に訪れます。 試しに植えてチョウを呼び込んでください。 もちろん、幼虫が食べなくてもセリ科はそのまま野菜として、ミカン科は実ができれば皆さんが食べることもできますね。 さて、チョウが好む草花を紹介しておきます。花の好みは色によるものもあり、アゲハチョウ科、 タテハチョウ科は赤や紫の花を、シロチョウ科、シジミチョウ科、セセリチョウ科は白や黄の花を好む傾向にあります。 様々な色の花を用意して、どれによく寄ってくるか観察してみるのも面白いでしょう。
■お知らせ■
□地形模型写真・夏季活動感想文は提出しましたか?□
7月活動で作成した立体地形図は、自宅で完成させたあと、 模型を持って笑顔と模型が写るようにおうちの方に写真に撮ってもらいましたか? 今年は部品が多くて大変でしたね。その分、完成の喜びは大きかったと思います。 また、夏季活動や夏休みの思い出の作文は提出しましたか? 写真・作文について、未提出の場合は事務局より確認の連絡をさせていただきます。 まれにメールの不具合などがあるので、確認しています。 未提出のままですと、夏季活動特集号(文集)に掲載できなくなってしまいますので、 日が経ってしまう前に提出してください。 ■お知らせ■
□賛助会費のご協力ありがとうございました
夏季活動の参加費にあわせて賛助会費へのご協力、ありがとうございました。 運営委員会ではすでに来年の夏季活動に向けて準備を始めています。 いただいた会費は下見費用や、運営委員の夏季活動参加負担金の一部補填など、有効に支出させていただいております。 ■おすすめニュース■
□au×HAKUTO ムーンチャレンジ□ 伊原先生おすすめ!
今年12月に日本で初めて、民間で月面探査にチャレンジするそうです。 「au×HAKUTO」というチームが作ったロボットの月面探査機「SORATO」が月に向かいます。 その際に、メッセージや写真などの「ペイロード」を搭載する予定です。 そして、画像とメッセージのデータを広く募集するというものです。興味があったらwebサイトを見てください。 https://payload.au-hakuto.jp/ (9月1 日まで) ■おすすめニュース■
□日大博物館の自然観察会□ 石井団長おすすめ!
◆第20 回 むらさきの丘サイエンス・セミナー テーマ「境川遊水地公園で自然観察をしよう!」 講師:小島 仁志(くらしの生物学科 助手) 日時:平成29年10月7日(土)10:00〜12:00 場所:神奈川県立境川遊水地公園内 対象:小学4年生〜中学3年生 募集期間:9月22日(金)必着 <申込方法>申込用紙(ホームページからダウンロード)に必要事項を書いて、メールまたはFAXにて、日本大学生物資源科学部博物館へ。 メール:brs.museum@nihon-u.ac.jp FAX:0466(84)3893 |